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イかせ屋…2
第11章 その男…
春になり自分の誕生日なのに私は私の為のケーキを焼く。
今朝、宅急便で田舎のお父さんから苺が届いた。
来週にはお母さんと兄が曽我家へ挨拶に来るのに、わざわざお父さんが宅急便で送ってくれたからケーキを作る事にする。
昌さんは朝から居ない。
どうせ、私の為に何かをやってるのだろうとは思うから今朝は放任中の私。
あれから私に対する過保護もほんの少しはマシになった昌さん。
2人で話し合う大切さを学んでから2人で少しずつルールを決めるようになる。
月に2度は必ずデート。
お誕生日やクリスマスなどのイベントの日は絶対にイかせ屋の仕事をしない。
そんな当たり前の事をわざわざルールにしないと昌さんが不安がる事をやっと理解出来るようになった。
そんな私の部屋に昌さんがやって来る。
「何をしてんだ?」
「見ての通り、ケーキを作ってるの。」
「お義父さんからの苺か?」
「そうよ。」
「ローソクは?」
「立てないで!」
この歳になると人様に年齢を晒すのが少し恥ずかしいとか思っちゃう。
「もうケーキは出来たのか?」
「うん…、後は着替えるだけよ。」
今日は曽我家に来なさいと親分様に言われてる。
昌さんが紙袋から1枚の着物を出す。
「浴衣?」
「そう浴衣。」
基本的には浴衣も着物と同じ。
違うのは長襦袢という下着を付けないのと足袋を履かずに裸足で下駄を履く事になるという事…。
浴衣用の下着を付けて浴衣を着る。
今日は久しぶりに昌さんが帯を巻いてくれる。
やっぱり過保護は治らない?
白地に鮮やかなアヤメの模様が入った浴衣。
「梓は白が似合う。」
嬉しそうに昌さんが目を細める。