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イかせ屋…2
第11章 その男…
「お母様の浴衣じゃないの?」
「これは俺がオーダーをして買った浴衣。」
髪を結い上げるとうなじにキスをして来る。
耳朶の下まで舌を這わせて来る。
「せっかく着たのに脱がせるつもり?」
「親父が待ってなけりゃ脱がせたい。」
相変わらずのベタベタ…。
でも、それが幸せだと思う。
昌さんが納得をするまでたっぷりとキスをしてからケーキの箱を持って出掛ける。
徒歩1分の曽我家に向かう。
門を潜り、庭を見て驚いた。
「屋台…。」
たこ焼き、カステラ、りんご飴。
所狭しとお祭り用の本格的な屋台が並んでる。
だから浴衣なんだと納得する。
「親父が皆んなと梓の誕生日をやりたいと言ったからな。」
ちょっとふてくされて昌さんが言う。
親父様にヤキモチを妬くのも相変わらず。
「遅いな。」
ヒロ君に言われる。
「準備に手間取ったのよ。」
「主役が来ないからたこ焼きが丸焦げだぞ。」
「焦げたのはヒロ君が食べたらいいでしょ?」
「ヒロさんと呼べ。」
こんなガキみたいなイかせ屋見習いは君付けで充分だと思う。
「梓ちゃん!おめでとう。」
昇君にそう言われる。
「ちゃん付けは止めて…。」
「なんで?梓ちゃんって可愛いじゃん?」
年下の大学生にちゃん付けされちゃうのも相変わらず。
「ほら…。」
冷たい顔の昊さんが私に真っ赤なバラの花束をくれる。
「うわっー!?」
両手いっぱいになる花束。
「さすがに27本だと花束もボリュームが出るな。」
昊さんの嫌味…。
「来年からは数は数えなくて結構です!」
「来年も貰うつもりか?」
「しっかり頂く予定です。」
「弟の嫁になるなら…、それも仕方がないな。」
初めて昊さんが笑顔を見せる。
やっぱり清太郎さんにそっくりだと思う。