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イかせ屋…2
第4章 その男、弱い生き物につき…
清太郎さんがお母様の恐怖は昌さんと昊さんから聞くのが一番良いと言う。
「清太郎さんは何故イかせ屋になろうと思ったのですか?」
私の質問に清太郎さんが寂しい笑顔を見せる。
「最初に言ったけれど…、男とは弱い生き物なんだ…。イかせ屋は千年以上受け継がれて来た言わば伝統の世界だ。その伝統を自分の代で終わらせる。その勇気がなかったからさ。」
「昌さんも?」
「昌は次男でちょっと構ってちゃんな部分があったからね。自分が継ぐ事で一族の体裁を守れると思ったんじゃないかな。」
「では…、イかせ屋の跡継ぎとはそれだけ重要だという事なのですか?」
ここが私の一番聞きたかった質問…。
あくまでも私は跡継ぎを産む為だけの存在なのだろうか?
それが怖くて昌さんに素直に聞けない部分…。
「確かに重要ではあるよ。だけど僕も姉さんも昌に継いで欲しいと望んだ事はない。継ぐか継がないかは結局は本人の意思だ。生半可な気持ちではイかせ屋なんか出来ないからね。昌だってそれは一番よくわかっているはずだよ。」
清太郎さんが再び遠い目をして空を見上げる。
これ以上の質問はイかせ屋代表として清太郎さんを私が責めてる気分しか感じずに聞けなかった。
清太郎さんの前は清太郎さんのお父さんのお兄さんが本家だったらしい。
その本家はやはり結婚されなかった為に甥に当たる清太郎さんが継ぎ、更に甥である昌さんが継ぐのだと決心する。
昌さんは自分の甥にではなく自分の子に跡継ぎを望んでるのかしら?
更に悩む私をお昼前には昌さんがリムジンで迎えに来てくれる。
「お仕事は終わったの?」
リムジンに乗るなり、そんな嫌味を言ってしまう。
本当はそんな事を言いたくはなかったのに…。