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イかせ屋…2
第1章 その男、過保護につき…
親分様のお言葉はご尤もだと思う。
指を立ててチョイチョイと昌さんに向かって動かしてみる。
すぐに昌さんが私のそばに寄って来る。
「ケーキ…、食べる?」
「食べる。」
ご機嫌で私の隣に座ってケーキを食べ始める。
少し冷めてしまった紅茶を昌さんの為に入れる。
食べ終わると私を自分の膝に軽々と抱き上げる。
頬へのキス…。
「今日の夕飯は?」
「すき焼きの予定…。」
「買い物は?」
「今から…。」
「なら、行こう。」
私の肩を抱いて一緒に出掛けてくれる。
今や半同棲生活だから仕事以外の時間は私にべったりな昌さん。
本当に至れり尽くせりの生活…。
2人で近所のスーパーへ買い物に行く。
荷物は全て昌さんが持ってくれる。
すき焼きの材料を一通り買う。
「他に欲しいものは?」
穏やかな笑顔で昌さんが言う。
きっと無駄なものを買い物籠いっぱいに買ったとしても、この人は荷物が重いとかそんな不平不満を顔に出さずにそう聞いてくれる人。
この笑顔に胸きゅんになる。
「後は昌さんのシガリロの予備くらい…。」
照れ隠しに俯いて答える。
「わかった。」
レジに2人で向かう。
レジの支払いも昌さん。
ここ最近で私が財布を使う時はケーキを買う時と本屋に行く時くらい…。
それも昌さんが同行すると、やっぱり財布は出せない生活になる。
贅沢な悩みなのは百も承知。
それでも不安になる。
この人が居なくなったら私は1人でもちゃんと生きていけるの?
その不安から思わず昌さんの着物の袖を掴む。
サラリと私の肩を抱きしめてくれる。
「帰ろう…。」
そう言って私の頭にキスを落とすとゆっくりと私に合わせて彼が歩き出す。
幸せ過ぎて怖い…。
それが一番の悩みだった…。