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イかせ屋…2
第9章 その男、ヤキモチ妬きにつき…
まさかの一週間が過ぎた。
昌さんが全く私の部屋に来ない。
こんな事は初めてだから、どうして良いかすらわからない。
親分様とのお茶会に私の方も行かなかったからお互い様?
お料理教室には出掛ける。
受講料が高いし次のレッスンスケジュールを調整する手間が面倒だから…。
「今日は集中してないね?」
ぼんやりと料理をする私を講師の先生が叱る。
「すみません。」
「体調が悪いなら無理はしなくていいんだよ。」
「大丈夫です。」
そうは言っても、このレッスンが無駄になるかもしれないという不安が襲う。
昌さんとはもう終わってしまうのかもという不安。
どうすればいいの?
自分から昌さんに連絡すれば済む事だけど、そこで折れたら昌さんだけが女を私に見せつける状況が続く気がして折れられない。
なんでイかせ屋の男なんか選んだの?
そんな最悪な事まで考えちゃう。
「杉田さん!」
お料理教室を出た瞬間に植草君の声がする。
「今日も来てたの?」
「今日はわざとこの時間に来た。杉田さんのレッスンがこの時間だと思ったから。」
ちょっと迷惑だと思う。
植草君のせいで歯車が狂った。
本当は植草君を責めるべきじゃないのに、そんな事を考える。
車のクラクションが鳴る。
振り返ると昌さんの車がある。
「ごめんなさい、迎えが来たから…。」
「あのさ、杉田さん。」
「本当にごめんなさい。」
植草君とはもう会いたくないとか思う。
急いで昌さんの車に乗り込む。
「どうしたの?」
「近くに来たから、ついでに迎えに来た。」
「ついでなの?」
「ああ、来ない方が良かったみたいだな…。」
昌さんがシガリロに火を点ける。