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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第6章 余計なお世話です
「…ん?」
「どうした?」
せっまい部屋に男二人で黙々とそれぞれの仕事や作業をして、日がすっかり傾いた頃。

「どうやら、終わりやしたね…音がしてます」
「あ?別に何も聞こえねぇぞ」
サクナ様は不機嫌そうにそう言いながら扉を見て、しばらくして驚いた顔で俺を見た。
「お前、すげぇ耳だな…犬かよ」
いえいえ、犬じゃ有りやせんぜ?ある意味犬以下です。

「ちょいと見て来やす」
「…ああ、頼んだ」
俺は頷いて扉を音がしないように必要最小限だけ開き、隙間から滑り出た。
犬ねえ、犬。妙な事を考えちまったねー。僻み根性はいけねぇな。
部屋を出て少し進むと、話し声や物音が大きくなった。
奥方様が、お姫さんにお別れのご挨拶をされてる様だぁね。
俺は物陰から、こそこそ様子を窺った。顔を出して、何か有っても面倒だからねー。別に疚しい事なんざ無ぇんだから堂々としてりゃあ良いんだが、習性って奴ぁ怖いねー。

「ご馳走様でした。とても楽しかったですわ。お招き頂いて、本当にありがとうございました」
「こちらこそ、十分なおもてなしが出来たかどうか…お会い出来て嬉しゅう御座いましたわ」
スグリ様はうっかりなウサギ姫の片鱗も見せず、にっこにこお上品にご挨拶なさってる。薪の時も思ったが、あの隔ての無ぇ朗らかさは、誰にでも分かりやすくお可愛らしいやね。どこぞのお嬢様もちったあ見習ったらどうか、ってな…どこのお嬢様だろうねー。
次に若奥様が大人しやかに挨拶なさって、その後にうちのお嬢様が奥方様に呼びかける声がした。

「…私、スグリ様と少しお話ししたいことがございますの。後で私がお屋敷にお送りする手配を致しますから、ひとまずここでお別れということになさって頂いて、あとは私のお客様とさせて頂いても宜しいですか?」
…お、なんだ。
お姫さんと交流を深めたいってか。お嬢様も大分砕けて来なすったね。

「構いませんよ」
お嬢様も大分角が取れたねー、いい傾向だねと思っていた俺の耳に、驚くべき音声が流れ込んで来た。
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