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SSS
第8章 彼を隔つもの
それが今俺の中で決めつけられた“感情”
「……凪」
「…うぜぇんだよ」
幼馴染を軽く見下ろし、凪は踵を返した
階段を降り、ゆっくりと玄関へ向かう–––
俯き加減の彼の頭に、そっと何かが触れた
「……?」
払い除けようと手を伸ばせば、シャリシャリと音を立てる笹の葉
そしてそこに吊るされた無数の願い–––
「くそ……っ」
目になんて入らなければ良かったのに。
見つけてしまった自分の願い
仲間と–––仲間と思っていた者たちと叶えたかった夢
ブチッ!!
凪は手を伸ばし、自分の短冊を乱暴に引き千切った
そのあまりに強い勢いに、柱に括られていた笹の木が根本から折れ、倒れてくる
「……っ!」
慌てて飛び退いた凪の耳に鋭い声が飛んだ
「おい、何してる!?」
「和泉くん!?」
ちょうど朝礼に向かうところだったらしい複数の教師が、愕然、恐怖、怒り–––様々な目でこちらを見ている