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SSS
第4章 私を食べないで。
「ぅ…ん……」
寒さに震えて、美和は布団を引き寄せようとした
“……”
ない
「んん……っ」
仕方なく目を開けて手を伸ばす範囲を広げる
ベッドの下に落としたか–––
そう思っていると、何やら生温かいものが手に触れた
「……!?」
驚いて上半身を起こすと、カーテンの隙間から射し込む月光がその正体を顕にした
「…い、犬……?」
灰色の毛皮のようなものが、上下に動いている
「……ひ」
かと思えばそれはのそりと立ち上がり此方に顔を向けた
“犬…じゃ、ない”
黄色い眼
口から覗く牙
–––都会に、まして自分の部屋になどいるはずもない、獣。
美和はベッドの上で固まったまま、しばらく動けずにいた