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SSS
第4章 私を食べないで。
その時、彼女の耳に声が届いた
“…くる…しい……”
聞こえた–––というよりは、頭に響いたといった方が正しいかもしれない
“…さみ…しい……”
狼の眼は真っ直ぐに美和を見つめている
“まさか…この狼が言ってるの……?”
俄かには信じられないが、彼女にはもっと信じられないことがあった
“オマエが…ホシイ……”
この声を、知っている
“…ホシイ……ホシイ…”
聞き間違えるはずがない
“ここから…助けてくれ……”
ギシッ
狼が身を乗り出しベッドに前脚を乗せると、重みで小さく軋む
そんなことお構いなしにソレは小刻みに震える美和に近付くと、長い舌を伸ばした