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SSS
第4章 私を食べないで。
狼は顰められるはずもない顔を顰める
「私だけ食べられちゃうなんて……駄目」
ああ
私も呪われてるんだなぁ
こんなに近くにいるのに
大好きな人に、触れられない
だって–––
「私のところに来てよ……本当に…来てよ……」
これは夢だから–––
どんな姿でもいい
そしたら二人の呪いは解けるから–––
「……っ」
凪が美和の目から零れ落ちた雫を掬った瞬間、美和は目を覚ました
「あ……」
寒かったはずなのに、体が熱く火照っているのは–––体に掛かるこの灰色の毛布のお陰か
母が掛け直してくれたのだろうか
チッ…チッ…
時計を見ると夜中の十二時近く。
長い間寝ていた気がしたが、そうでもなかったらしい
今向こうは昼間のはず。
美和はそっとベッド脇に手を伸ばすと、その番号を押した