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SSS
第5章 叶えられた願い
街は光と音と人々で溢れかえっていた
カップルと子供たちと–––店を覗けば、サンタクロースの姿まである
「……」
男は白い息を吐き出しながらその様子を珍しそうに眺めていた
手袋を嵌めていない両手は黒いコートの奥深くまで突っ込まれている
冷たい風が男の短い黒髪を揺らすが、彼はほとんど気にも留めていないようだった
「……あの」
代わりに寒そうに身を縮めた女子高生二人が声を掛ける
夜中からは降雪の予報もあるのに、ミニスカートを履くなんて馬鹿馬鹿しい
もしくはそれが規則に従ってのことならば哀れで、滑稽だ
「……えっ、と」
そんな心の嗤いを読み取ったのか、話しかけた方は少し言い淀んでしまった
「なんだ」
男が先を促す
「麗夜様……ですよね?」
「それが?」
やっぱり、と二人は目を輝かせた
「こんなところでどうしたんですか? もしかして、彼女さんと待ち合わせ?」