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SSS
第5章 叶えられた願い
突然馴れ馴れしくなった女たちに男は戸惑い、眉を顰めた
それはまさか彼が返事をしてくれるなど思ってもみなかったからで、その声が想像以上に深く綺麗だったからだった
「……彼女はいない」
「えー! 嘘ですよね!」
「そんなに恰好良いのに!?」
貴族、まして長の一族などテレビ越しにしか見ることはないし、その中でも麗夜は無愛想なことで知られていた
妹とは正反対–––
「……ハァ」
この溜め息には、騒いでいた女子高生たちも流石に口を噤んだ
「俺が誰とどこで何をしようが関係ない。
それを知ることに何の意味がある?」
失せろ–––そんな冷やかな視線に、逆に彼女たちは動けなかった
「……やぁ、麗夜。早かったんだね」
そんな沈黙の間に落ちてきた、柔らかい声。
三人ともつられてその主の方を振り返った
黒塗りの高級車の隣で手を振る彼に道行く人全てが立ち止まり、そこだけ別空間が出来上がった