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SSS
第6章 たとえ貴女に逢えなくても
「若長、あそこに」
「ああ」
またこの時期がやって来たか–––
「今年ほどこの再会を喜ばしく……神に感謝した日はないな」
穏やかに笑うリーの右腕には、深く長い傷痕があった
誇りを守るための闘いで、喪ったものは大きい
リーは手綱を持った左手で傷を撫でながらあの大吹雪の戰を思い出していた
‘雪……!?’
‘こんな時期に!?’
‘クォック・スーか……!’
リーがそう呟いた瞬間、あり得ない自然の力に慄いた敵方の隊形が乱れる
‘今だ!’
数の差をものともせずに果敢に挑んで行く同胞たち
慌てたサラディ家の騎士たちは、その迫力に気圧されて次々と退却を始めた
‘追うな! 我々の目的は殺戮ではな……’
仲間を振り返った瞬間、敵が闇雲に振り回した切っ先がリーの腕に刺さり、そのまま手首の方まで肉をえぐっていった
‘うっ……グッ!!’