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フェアリーキット。
第2章 第二日目 火曜日。
妖精さんは雪のような光の玉から、手のひらサイズの女の子に成長していた。
――カワイイ……。
頬がゆるむ。
――赤ちゃんが生まれると、こんな感じなのかな……。
また、頬がゆるんだ。
虹色の透き通るような背中はしなやかにS字カーブを描いていて、同性の私が見ても艶っぽい。肩甲骨には虹色の透明な羽。それがパタパタと小さな羽音を立てながら器用に私の周りを飛んでいる。背中まである色素が薄い銀色の髪がたなびかせて……。
――あ、名前付けなきゃ。
つい昨日、雪のようにフワフワと飛んでいた彼女を思い出す。
雪みたいだからと「ゆきちゃん」と呼んでみる。
――ゆきちゃんなんて、単純過ぎるかな?
「ユキ……チャン……」
――えっ……?
確かに聞こえたのは「ゆきちゃん」という声。
「あなた話せるの、ゆきちゃん?」
「ユキチャン、ユキチャン……」
「気に入ってくれた?」