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本の夢…
第8章 大人への1歩
お父さんと話し合った。
「夢は夢の行きたい大学に行きなさい。」
お父さんがそう言う。
家を売ったお金は半分をお母さんに、残りの半分は全部私にくれるとお父さんが言う。
「でも、それだと新しい子供の為にお父さんが困るでしょ?」
「新しい子供とか、そんなんじゃない。夢は俺の子供で生まれる子供は夢の妹だ。どちらも俺の子供だって事を俺は忘れていたダメな父親だ。」
「お父さん…。」
「担任の先生とあの図書の先生に凄く怒られたよ。夢だって俺の子供なんだってね。」
お父さんがずっと私を抱きしめて頭を撫でてくれる。
先生達が私は1人じゃないと教えてくれた気がする。
もう一度、塚原先生を信じてみよう。
秘密の恋は終わりでも、先生は私の為にいつも熱心で必死になってくれているのは事実だ。
お父さんと話を済ませて自分の家に帰った。
お母さんが居ない事にホッとした。
この先の三者面談はお父さんが来る事に決まった。
私は大学を目指し、司書教諭の道だけを目指しなさいと言われた。
不器用で頭の悪い私だから、道だけは間違えずに真っ直ぐに進みなさいとお父さんが笑っていた。
いっぱい泣いたから、今夜はよく眠れた。
朝はちゃんと起きて学校へ行く。
担任の先生が私に笑顔を見せてくれる。
「迷いはない?」
「ありません。」
ぼんやりとばかりしていた私が顔を上げて真っ直ぐに前を向いて答えていた。
「上垣さんなら大丈夫よ。」
担任の先生の存在が心を強くしてくれる。
1人じゃない。
もうすぐ夏。
成績は悪くても真面目だけが取り柄だった。
今は、その成績も上がったから推薦枠に入れる自分が誇らしかった。