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本の夢…
第8章 大人への1歩
放課後になり、図書館で勉強をする。
塚原先生が黙って私に英語の本を貸してくれる。
中には
『必ず待っていて欲しい。』
と書いたメモがある。
大丈夫だよ、先生。
少し笑っちゃった。
秘密の恋が終わっても私はこの図書館に通い続けるし、先生にちゃんとお礼も言うつもりだ。
5時になり、先生が図書館の鍵を閉める。
地下や1階、2階の確認をすると先生が窓のカーテンを閉じる。
私なんか存在をして居ないかのように先生が図書館を動き回る。
最後に私の前に来て、ふんわりと私を抱きしめる。
「やっと夢と話が出来る。」
先生が泣きそうな声でそう言った。
なんかちょっと照れくさかった。
「先生…。」
今までありがとうを言おうとした瞬間にペチッと先生に頬を叩かれた。
「先生…?」
「2度とあんな事はしないと約束をしなさい。あんな変な酔っ払いに簡単に身体を触らせるなんて絶対に許さないよ。」
先生が凄く怒っていた。
「だって…、先生…。」
「わかってます。僕が誤解をさせたのが悪いんだ。だけど夢はもっと自分を大事にして欲しい。あんな事をされている夢に僕は耐えられないよ。」
先生が強く私を抱きしめる。
「まずは誤解を解いておきます。昨日、夢がここで見た子は三者面談で推薦は無理だと言われた子です。」
先生がそう話を始めた。
その子はバレンタインデーの時の子。
私と同じように先生から大学に行く為の勉強に必要なお勧めの本を借りている子。
でも、彼女は塾があるから図書館では勉強をしない。
先生から借りた本も中途半端にしか読んでいないらしい。
「塾、塾と親に言われて少しノイローゼ気味ではあるんだよ。」
先生が悲しい顔をした。