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写性 …SHASEI…
第5章 発作
お庭の裏側に何も植わってないところがあった。
「お父様…ここ何もないわ。」
「そうだよ。これから植えるんだよ。ここに野菜を植えて、育てた野菜を食べるようにしようと思ってね。」
「種まきするの?」
「そうだよ、沙絵、よく知ってるね。」
「お祖母様が、好きなお花の種まきしてたから…」
「じゃあ、明日から一緒に種まきしようか…」
「うん。」
お父様との生活は楽しい。
お祖父様のところでは、お手伝いさんが全部やってくれて、私は遊んでいるだけだった。
お父様はお母様が好きだった人。
とても優しい、温かい。
幼稚園のお友達のお母様が、私のことを大変とか可哀想っていうのは、そういうことを知らなかったからかな。
でも、もう大丈夫。
お父様がいれば私は楽しい、温かい、幸せ。
私は、新しい生活に戸惑うまもなく、お父様だけの世界に、二人だけの世界に、それも間違えた世界に、お父様と二人で迷いこんでしまったのに気づくことはなかった。
翌日から野菜の種まきが始まる。
お父様が土を柔らかくして、私は種まきをする。
毎日、色んな種まきをして水を撒いた。
「早く芽が出るといいね。」