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甘ったれなブルー
第2章 幸せのブルー

「悠くん・・」
僕の名前を呼ぶ声で目が覚めた。
紗羅(さら)は僕の腕の中で静かに眠っている。そっと頬に触れると濡れた感触が指先に伝わってきた。また夢を見ながら泣いていたようだ。
一緒に住み始めた頃、彼女に、なぜつらい夢ばかり見るのかなと聞いたことがある。すると紗羅は「つらい夢じゃなくて幸せな夢を見ているの」と言った。どうして幸せなのに悲しいのと聞いたら、「幸せは、いつか終わってしまう」だから哀しいと言って困った顔をした。
今朝、散歩に誘った時は行きたくないと言った沙羅だったが、時間をかけて説得し、マンションからぶらぶら二人で歩いて川沿いの桜を見に行った。思ったとおり満開だったので、今日行って良かったと思う。次の日曜日まで保たないだろう。
会社勤めの人間は平日にのんびりなど出来ないし、さらに年度末のこの時期はいつもより忙しいから、いくら一年に一度の花見と雖もその為に休暇を取るのは無理な相談だ。
僕の名前を呼ぶ声で目が覚めた。
紗羅(さら)は僕の腕の中で静かに眠っている。そっと頬に触れると濡れた感触が指先に伝わってきた。また夢を見ながら泣いていたようだ。
一緒に住み始めた頃、彼女に、なぜつらい夢ばかり見るのかなと聞いたことがある。すると紗羅は「つらい夢じゃなくて幸せな夢を見ているの」と言った。どうして幸せなのに悲しいのと聞いたら、「幸せは、いつか終わってしまう」だから哀しいと言って困った顔をした。
今朝、散歩に誘った時は行きたくないと言った沙羅だったが、時間をかけて説得し、マンションからぶらぶら二人で歩いて川沿いの桜を見に行った。思ったとおり満開だったので、今日行って良かったと思う。次の日曜日まで保たないだろう。
会社勤めの人間は平日にのんびりなど出来ないし、さらに年度末のこの時期はいつもより忙しいから、いくら一年に一度の花見と雖もその為に休暇を取るのは無理な相談だ。

