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愛の終わりは最高のデートで幕を下ろそう
第2章 二人のラスト・ドライブ
「そうか・・きみがそう言うなら仕方ない。でも愛し合っているのに別れるなんて、おかしな話だな」
「それはもう十分話し合ったでしょう」
「ああ。話し合って十分検討した。ただ・・」
「ねえ。笑って」
「えっ」
「そんな悲しい顔をしないで、さっきまでのように優しく笑って欲しい」

こちらに向かって伸ばされた大きな手を、そっと両手で包み込む。黙って横を向いた彼の目が光っているように見えたのは涙だろうか。

「あなたの全てをわたしの中に刻み込みたい。どんなに時間が経っても、どこにいても目を閉じていても思い出せるように。あなたの声も手も素敵な笑顔も。だから笑ってください」
「・・ああ」

彼がいてわたしがいて、付き合い始めたばかりの恋人同士のようにはにかみドキドキしながらテーブルの上で手を繋ぎ、ふたりの横を通り過ぎてゆく時間を感じる。

「ちゃんと持って来てくれた?」
「何をかな」
「もう、とぼけないで。離婚届よ」
「ああ、もちろんちゃんと持ってる」
「このドライブが終わったら市役所に届を出して、わたしたちの愛の幕を下ろすの」
「うむ。愛の幕引き・・また洒落た言い方をする」
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