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愛の終わりは最高のデートで幕を下ろそう
第2章 二人のラスト・ドライブ

「こうやって一緒に食事する時間をもっと過ごせたら、僕たちは、こんなエンディングにはならなかった」
「・・そうね」寂しげな彼の声に胸が詰まり、口に運びかけていたフォークを皿に置いた。

彼の言うとおりだろう。

もっと濃密な時間が過ごせていたら・・わたしが欲していた幸せが・・。

しかしそうでなかったわたしたちの可能性を、今になってあれこれ言っても仕方がない。

でも・・可能性と言えば・・・「普通の奥さんの方が良かったね。家で食事作って、夫の帰りを待ってる普通のかわいい奥さん」
「分からない。僕は今のきみが好きだったからね。いつも前を向いて輝いていたきみが」
「・・・」

自分が望んだことなのに、全部過去形の夫の言葉が胸を締め付ける。

もう本当に終わり、これで終わりという実感が小さな衝撃を伴ってわたしに落ちてきた。

その衝撃は、体の中心からテーブルに置いた指の先まで、脱力感を伴い隅々まで広がって行った。

遠くから聞こえるような彼の声。

「僕が言えることは今でもきみをを愛しているということだ。きみだけを。だから・・考え直さないか」
「・・わたしも同じよ。あなた以外は考えられない。でも、もう終わり。これでお終い」
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