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溶ける
第5章 ラボ
何故ストレッチャーが来ないのか。
父の娘ということで、責任者が特別に対応しているが、二次感染を恐れているのだと理解する。
表面はさほど溶けていないが、内部が溶けているのだろうか…
全身が怠くて力が入らない。
まだ見てもいないのに1症例となった患者の姿が脳裏に浮かぶ。
全てが白い部屋に一人寝かされている。
病原は肉だけでなく骨まで溶かす。
彼は、足から発症したようで、膝下は肉が全て溶け落ちて骨が剥き出しになっている。
その骨まで溶けて、脛より下がない。
そんな状態でも痛みはないのか、それとも動く力が奪われたのか、生きた屍のようにじっとして横たわっている。