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嘘やろ!?
第10章 芸術と科学



「飯を食ったら帰って先に寝てろや。明日も学校なんやろ?」


透の寝不足よりも私の寝不足を優先にする。

なんでそんなに自分を犠牲にしたがるんや?

そう言う前に透がキスをして来る。


「日曜日はちょっと付き合えよ。」


ただそう言って嬉しそうにする透になんも言えんかった。

私だけが部屋に帰りパジャマに着替えて寝る。

深夜に透が帰って来るとなんとなく目が覚める。


「起こしたか?」

「ベッドが狭いからな。」

「ダブルにしたら親父の部屋みたいになるぞ。」


透がクスクスと笑って私を抱きしめて来る。

暑いんやけど?

そう思いながら寝てまう。

朝から透に起こされた。


「朱音ん家より駅2つ遠いってわかっとんか?」


その言葉に驚愕する。

嘘やろ!?

いつも通りで起きてる場合とちゃうやん!?

慌てて顔を洗ってメイクを済ませて透の部屋を飛び出していた。

労働法に合わせて出勤をするだけの夏休み。

事務的な仕事をしたり、暇なら中庭の花壇の水撒きなんかもする。

部活の顧問をやってる教師はともかく、私みたいに部活の面倒をみない教師は雑用ばかりが回って来る。

うちの学校からじゃインターハイに出るような学生は居ないのに、大会運営側からはFAXが届いたりする為にそのFAXの用紙を部活中の先生に届けたりする雑務…。

午後は交代の教師が来るから私は帰れるはずなのに、その交代教師がギリギリまで来ないという。

やっと来た交代の中野先生…。


「引き継ぎがあるのでギリギリは止めて頂けますか?」


思わず嫌味を言う。


「楠木先生のお陰で終業式の夕方は僕は帰れなかったんですよ。」


中野先生が嫌な顔をした。


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