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嘘やろ!?
第10章 芸術と科学
「このクソ親父っ!朱音にだけは手を出すな言うたやろが!」
久しぶりにキレた透を見た。
浮気だけは許さない透…。
「手も足も出しとらんて…、お前が寝てばっかりやから店を休ませたってくれって朱音ちゃんが言いに来ただけやぞ?」
平気で嘘を付く遼さんに何故かホッとする。
部屋に入って来た透が私の顔を撫でて来る。
「ほんまに何もなかったか?親父に何もされてへんか?」
ただ心配そうに私に聞く透を見て遼さんの信用が余程ないのだと笑ってまう。
「何もないよ。」
透を安心させたくてそう答える。
「だから今日は休んでええぞ?イチャつくんなら俺のベッドじゃなしに自分のベッドでやれや。」
遼さんが私と透を冷やかすように言うから透と2人で慌てて遼さんの部屋を出た。
透の部屋に帰ると気まづくて巨大イルカを抱いて顔を伏せてまう…。
「寝てばかりやと嫌か?」
透が不安そうな声で聞いて来る。
「ちゃうわ…、透が疲れてるんなら自分の家に帰ろうかと思っただけや…。」
透の顔がまともに見れずにヤケクソで答えてた。
「帰んなや、どうせ今は夏休みしか一緒に居られへんねんから。」
透が私の頭を撫でて来る。
透の手が熱かった…。
泣きたいくらいに胸が痛かった。
「せっかくの休みなんやから朱音が俺にして欲しい事とかあるか?」
私の額にキスをして透が聞いて来る。
「透がしたい事は?」
恥ずかしくて顔が上げらへんから聞き返してまう。
「そやな…、朱音にキスしてから一緒に風呂にでも入りたいな。」
透が軽く答えて来る。
きっとニヤニヤとしながら私の事を子供だという顔をして笑ってるに決まってる。
それでも今夜は透が居てくれると思うから、それだけで幸せな気持ちになって、心が透だけでいっぱいいっぱいになってた。