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嘘やろ!?
第11章 プライド
ほんまに無茶しよる…。
その無茶が嫌やねん…。
透の頭を胸に抱く。
「透とキスがしたい。透に抱いて欲しい…。でも、その前に透が熱を出してんのが嫌やねん…。透が無茶してんのが嫌やねん…。透が無茶を続けるなら遼さんに言わなしゃあないやん。」
泣きたい気持ちを透にぶつける。
透は黙ったまま目を閉じる。
多分、熱のせいで私が言うた事はわかってないと思う。
透の身体から力が抜けるまで透の頭を撫で続ける。
少しずつ透の身体から抜け出してから透を置いて部屋を出た。
店に行きフロアに居た慎也さんに遼さんを呼んで貰う。
「今度はなんやねん?」
遼さんが面倒臭そうな顔をする。
「透が熱を出してるんです…。」
「そうか…。」
「そうかって…、遼さん、医者やろ?」
このチャラ男がほんまに医者なのか疑いたくなる。
「医者やから焦ってもしゃあないんや。朱音ちゃんみたいにアタフタばっかりしとる医者に診察なんかされたないやろ?」
尤もな事を言って遼さんが笑ってる。
遼さんの笑顔で少しずつ落ち着いて来る。
そうやった…。
教師として生徒がパニックになっても冷静に対応しろと一番始めに習った事やった…。
透と居る時は教師である自分を出来るだけ忘れようとしてた自分が裏目に出た。
「必要なもんは?」
遼さんが冷静に聞いて来る。
「吐き気や嘔吐はないです…。咳も鼻水も無し。だからただの発熱なので食事と熱冷ましをお願いします。」
遼さんになら冷静に答える事が出来る。
「後で誰かに持って行かすから…。」
私の頭を軽く叩いて遼さんが店に戻る。
冷静になればわかる事だった。
遼さんになんでも頼ろうとする私を透が嫌がるのは透をそれだけ子供扱いしてるという事になる。