この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー

時々、透が園田さんと居る姿を見かけるようになった。
というよりも、寝ている透に園田さんが寄り添ってるという感じ…。
他のクラスなのに昼休みなどにわざわざうちのクラスに来て眠ってる透の机に黙って寄り添う。
「吉岡君て園田さんと付き合ってんの?」
「まさかぁ?吉岡が起きてるの見た事ねぇよ?」
「んじゃ、園田さんのストーカー?」
「怖っ!」
そんな会話がカップル達から聞こえて来る。
少しでも透が起きた瞬間に話をしたいと園田さんが必死なのだという気持ちだけは伝わって来る。
きっかけは屋上だったと透から聞いた。
始業式の日、屋上で寝てた透の横で必死の園田さんが提出期限間近に迫った夏休みの宿題である英語のプリントをやってた。
「こんなのわかんない。」
夏休み前に英語の成績で母親に叱られた園田さんが泣き出す。
だから透が英語は耳で覚えろと教えたらしい。
それでも学生がそんな簡単に英会話を出来る場所なんかない。
専門の英会話教室に行くとか、そういう事が必要になるから園田さんは必死になって透と会話をしたがってる。
放課後に眠ってる透に寄り添う園田さんを見た。
「Is he still not getting up?(彼はまだ起きて来ない?)」
軽い気持ちで園田さんに聞いてみた。
園田さんが険しい顔に変わる。
「馬鹿にしてるんですか?」
怒りを含んだ低い声…。
何故、彼女が怒り出したのかが、わからんかった。
「そんなつもりは…。」
「先生に私の気持ちなんか理解をして欲しいとか思ってませんから!」
別に同情とかしたつもりはなかった。
勉強がしたいと思う子ならば教師として協力をしてあげようと思っただけなのに…。
「うるせぇな…。」
不機嫌な顔で透が起きる。

