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嘘やろ!?
第14章 体育祭のヒーロー
どう言えばええのかを迷う。
「なんの騒ぎだよ…。」
「透君…、楠木先生に話したの?」
「何が?」
欠伸をして面倒臭そうに透が答える。
しまった…。
そう思う。
園田さんは透と2人だけの秘密を共有したかったのだと理解をした。
「耳から英語を覚えろって話か?それを俺に言うたんが楠木先生やぞ。」
透が園田さんに嘘をつく。
「ごめんね、園田さんが英会話の練習をしてるって聞いて嬉しかったから…。」
中途半端な笑顔で園田さんを誤魔化す。
「帰んぞ…。」
そう言った透が園田さんを連れて学校から出て行く。
残された私は泣きながら戸締りをする。
学生だからと当たり前のように園田さんのそばに寄り添う事が出来る園田さんを馬鹿にする気持ちがあったのかもしれないと思った。
距離を置かなければ…。
嫌でも透と引き離される生活に心が引き裂かれる気がして悲鳴を上げてた。
週末は透が私を甘やかす。
「神戸牛のステーキと中華街の飲茶食べ放題ならどっちに行きたい?」
「飲茶!」
「チーズケーキ付きか?」
「当然やろ?」
透と付き合って2kg太った事実は伏せておく。
「なら、機嫌治せや。」
透が私にキスをする。
「別に、悪ないわ。」
「園田の事で気にしてんねやろ?」
「園田さん…、透しか受け入れてないのがショックやっただけや。」
「受け入れてる訳やない。寧ろ依存に近いから…、突き放してる。」
「なんで?」
「わかるやろ?」
佳奈子の時みたいになるからか?
なら、私が透に依存をしてたらどうするの?
怖くて聞けない事が増えてく。
「明日、出掛けるんやから寝るぞ。」
透は仕事明け…。
だから透の為に寝る。
その心に不安を抱えたままでも透には言えないまま透にしがみついて眠った。