この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第15章 シェルター
透に寄り添う園田さんの姿だけが相変わらず。
もう何日、透と話をしてない?
かれこれ3週間?
週末には透の部屋に行かなければ…。
「楠木先生、ちょっとよろしいですか?」
職員室でわざわざ中野先生が高い声を出して私を呼ぶ。
うんざりとする。
「なんですか?」
「吉岡ですが…。」
「吉岡君なら相変わらずですが…。」
透は寝てて大人しくしてる。
「いや、ある生徒から向こう街のラブホテル街で吉岡を見たという噂を聞きましてね。場合によっては厳重注意を促すべきかと思いまして…。」
ラブホテル!?
嘘やろ!?
ありえへん!
「それはほんまにうちの吉岡君なんですか?」
怒りが湧き中野先生を睨みながら聞いた。
「多分、としか言えません。見たという学生が居るだけで証拠はないですから…。」
「なら、注意も出来ませんよね?」
「だったら楠木先生が真相を確認して下さい。」
「言われなくとも、そうします。」
中野先生から離れた。
注意!?
当然やろ!
何してんねん。
あのあほっ!
たった3週間ほど話されへんかっただけで他の女とラブホやてか?
ふざけんなや。
急いで職員室を出ようとした。
「楠木先生?」
「学園長…。」
「どうしました?凄い形相で…。」
学園長が目を丸くして私に聞いて来る。
とりあえずは作り笑顔でよそ行きの顔に変身をする。
「いえ…、なんでもありません。」
笑顔を絶やさずに答える。
「明後日なんですけど…、お忙しいですか?」
明後日…。
日曜日…。
シェルターの誕生日会…。
「大丈夫です。」
答えてからしまったと後悔をする。
「では、この前と同じ時間に待ってますね。」
仏の学園長がニコニコとして私の前から立ち去った。
勘弁してや…。
透の事を考えてやる余裕なんか全くない自分に泣きたくなってため息ばかりを繰り返すだけだった。