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嘘やろ!?
第16章 信頼
土曜日の半日授業を済ませてイライラとする。
教室の戸締りをして家に帰る。
着替えをして透の部屋に向かう。
まだ夕方だから透はイルカを抱えて眠ってる。
「起きろや!」
イルカを取り上げて透を起こす。
不機嫌な顔…。
「なんやねん?」
「なんやねんちゃうやろ!」
「何が?」
「ラブホに行ったってほんまか!?」
しばしの沈黙…。
「あかんのか?」
「あかんのかって…。」
開き直ったような透の言葉に愕然とする。
「とりあえず仕事して来る。話は帰ってからや。」
ベッドから出た透がお風呂に行こうとする。
「ごめん、透…。明日は仕事やから今日は帰る。」
今度は透の方が私に愕然とした顔を向ける。
「だから…、透…。」
「ふざけんなや!お前が卒業まで学校では近寄んなとか俺に言うといて、勝手な時だけは平然と俺の部屋に押し掛けて来た思ったら仕事やから帰る?それのどこが努力やねん!」
「でも、透…。」
「お前が望んだ事やろ?だったら俺がラブホに行ったくらいでガタガタ騒ぐなや!」
本気で透が怒ってる。
大人びてるからと思ってたのは私の間違い。
私の為なら頼みをなんでも聞いてくれると考えてたんも私の間違い。
透に無理な我慢を私は押し付けてただけ…。
透が私に時間をくれとなんべんも言うた言葉を蔑ろにした私への報い。
「悪…かった…から…。」
涙が込み上げて来る。
きっと透が優しくキスをしてくれると思うてた。
「帰れや…。」
重く冷たい言葉…。
冷たい目で私を見てる。
遼さんが言うてた冷ややかな目を私にも向けてる。
嘘…やろ?
恐怖に身体が震えた。