この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第16章 信頼
「帰れ…。」
2度目は更に冷たい声。
その目はもう私を見てない。
「ごめん…なさい…。」
かろうじてそれだけを言うて透の部屋を出た。
自分の家に帰る。
とめどない涙が溢れ続ける。
透の信頼を失った…。
つまりは透を失った…。
泣いてもしゃあないのに涙が止まらへん。
どうすれば…。
考える。
透と過ごせる時間を永遠だとか勘違いをしてた自分を呪いたくなる。
失うのは一瞬…。
そして、失ったものを思う気持ちこそが永遠のように長くなると本当の意味として私が理解をするのはこれからの事だった。
長い長い夜…。
ひたすら涙を流し続ける。
涙が枯れるとかほんまにあるの?
今まで一筋の涙でも流せば透が笑って拭ってくれた。
透…。
私が悪かったから…。
私が素直じゃなかったから…。
自分の気持ちすらまともに伝えてないくせに透なら大丈夫とか傲りを抱いた私の間違い。
お願いやから…。
狂いそうな夜を過ごす。
夜がこんなに長いなんて…。
透と過ごす夜はいつもあっという間だった。
どこで私は間違えた?
何度も繰り返し考える。
涙はずっと止まらずに長い夜を1人で過ごす。
透…。
まだ愛してるから…。
伝わらない言葉を何度も呟いた。
永遠に感じる夜が終わり、腫れた醜い顔をなんとかしようとシャワーを浴びる。
重い身体を引き摺るようにして学校の前へと向かう。
学園長の高級車が私を待ってた。
「うわっ!?すみません、楠木先生、お疲れみたいなのに…、呼び出すべきじゃなかったですよね?」
アタフタとする学園長の言葉にぼんやりとして答える。
「いえ…、大丈夫です。」
何が大丈夫?
あほやろ?
アンタって最低な女やな?
1人で居るんが怖くて学園長と過ごそうとしてるだけやん。
自分自身を責めてた。