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嘘やろ!?
第16章 信頼
「なら、お父さん…、教師として先輩としてアドバイスが欲しい。」
「なんだ?」
初めて教師として父と話す。
透の事を…。
私との関係は伏せてだけど、透という存在に教師としてどう対応すべきかのアドバイスが欲しかった。
だから透という子の全てを話す。
「そんなに凄い子なのか?」
「お父さんの学校のスーパー特進クラスの子よりも凄いと思う。」
スーパー特進クラスの子は全国トップクラスの国立大学にしか行かない子の為のクラス。
父の学校の自慢のクラスだから父もさすがに驚いた顔をする。
「それで本人には大学に行く意思はないのか?」
「それがわからない…。」
「お前はどうしてやりたいんだ?」
「それもわからない…。」
段々と自信を失くしてく。
父がため息をついた。
「なによ?」
「お前は本当に困った娘だな。」
「悪かったわね。」
「凄い子なんだろ?」
「そうよ。」
「なら何故、お前は信用をしてやらない?」
父の言葉に私の思考が停止する。
「信…用…?」
「そうだ。それだけ凄い子というのは自分の未来が既に見えてる子だ。自分がどんな選択肢を選んだとしても、決して失敗などせずに乗り越える力のある子なんだ。」
それは納得が出来る。
透は人に頼らずに全てを自分でやろうとする子だ。
ただ、それが人を遠ざけているように感じるから私や遼さんが嫌だと思う部分でもある。
「そんな子に他人である教師が余計な事をあれこれと言うよりもその子を信頼して見守ってやるくらいの度量のある教師でなければ、その子だってお前に対して心を開く訳がなかろう。」
父の言葉に今までの自分を恥じた。
教師としてと言いながら透を信頼してなかった。
私を養うと余裕で笑ってた透を信用してなかった。
私の為ならなんでもすると言うた透なのに私は不安ばかりを抱えてた。
「お父さん…、ありがとう…。」
今更かもしれないけれど、まだ透に私が寄り添える隙が少しでもあるならば、今度こそ透を信頼しようと思った。