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嘘やろ!?
第16章 信頼
年末は実家に帰る。
お嬢様な母…。
「いやん!朱音ちゃん、ちゃんとご飯を食べてる?なんでそんなに痩せたんよ!?」
母が私の為にひたすらご飯を作り出す。
厳格な父。
「梶谷先生にお会いしたらしいな。」
重苦しい声で聞いて来る。
「どっちの梶谷先生?」
態度の悪い一人娘が私。
「お父さんの方に決まっとる。」
「うん…、会ったよ。お父さんによろしくって言ってた。」
「それは梶谷先生本人から聞いた。お前はいつもいつも私に報告をするのが遅い。」
この歳になると父親の小言は面倒なだけにしか感じない。
そもそも、この厳格な父が隆也との同棲を許す訳がないからと始まった一人暮らし。
だから父の小言を聞くくらいなら自分ん家に帰ろうかとか思ってまう。
「それで、梶谷先生とはどうなんだ?」
父が私を睨んで聞いて来る。
「だから梶谷先生はお元気だったわよ。」
「お父さんの方ではなく、息子さんの方だ。」
あー!ややこしい!
「学園長も元気よ。」
「そうじゃない。梶谷先生が息子さんの事を心配して相談を受けている。」
「学園長の?」
「35にもなって独り身だからな。お前なんかどうなんだろうと聞かれたのだ。」
「はぁ?」
「お前だってあっという間に三十路になる。」
「そういう事…、普通にズケズケと言う!?」
「自分の娘だから言うんだ。人様の子にそんな失礼な事を言う訳がなかろう。」
父がふんっと鼻息を出す。
「残念だけどあの学園長とだけはないわ。」
「お前は人様の息子さんになんて事を言うんだ。教師としてもう少し口の聞き方に…。」
あーたらこーたらなんたらと父の小言は10分間ほど私を苦しめた。