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嘘やろ!?
第17章 卒業
信頼かぁ…。
ため息が出る。
「そろそろ飲みに行こーっ?」
千里が言う。
「私はパス…。」
「朱音が行かないなら私もパス…。」
「えーっ!?2人とも裏切り者や!」
千里だけが叫ぶ。
お正月に飲める店は遼さんの店くらい…。
今はまだ透に会う勇気がない。
時間が経てば経つほどに透との修復が難しくなるのはわかってる。
だけど私の中ではあの時のレイプの恐怖がまだ消えてない。
透を好きな気持ちは全く変わってない。
今は透を信頼出来る女になりたいと思う。
でも透に会えばきっと恐怖で身体が竦んでまう。
また変な誤解だけを透に与えてまう。
だから食事だけで私は帰る。
2度とお酒の勢いだけで新しい恋を始めようなんて馬鹿な事はしないと決めた。
透が望んだ自分にならなければ、透の教師としての薄っぺらな立場なんかズタズタにされて当たり前なんだと自分に何度も言い聞かせた。
少しずつ自分を取り戻しながら新学期が始まった。
相変わらず夜が長い…。
1日も長い…。
卒業前の消化だけの授業…。
ふと違和感に気付く。
「吉岡君は?」
生徒達が笑う。
「えっ?今更?」
「先生、酷いな。」
「吉岡なら今年は1回も来てないやん。」
「いくら存在が薄くても、それはないわ。」
嘘やろ!?
1回も来てない?
出席を取るとかしなくなってから空いてる席だけを確認する形を取るのに透が居ない事に1週間以上も気付いてなかった。
一部の子は車の免許取得の合宿中とかで休みの連絡は聞いてた。
なんでやねん?
後2日もすれば卒業式やで?
明日は予行演習…。
明後日は本番。
だから今日が最後の授業だったのに…。
その為に1人1人の顔を確認して声を掛けた。