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嘘やろ!?
第24章 大学病院
何事もなかった顔をして学校へ行く。
いつも通りに授業をする。
「はい、ここは今度のテスト範囲やからよく聞いてよ。」
お決まりの台詞。
慣れだけで仕事をする。
ノルマ消化が染み付いた身体はちょっとやそっとでは動揺を生徒達に見せわせん。
変わらず教室の戸締まりをして帰ろうした。
「楠木先生、お帰りですか?」
ニコやかな学園長の笑顔がある。
久しぶりに見た気分。
たかが4連休やっただけやのに…。
「お疲れ様でした…。」
穏やかな気持ちで頭を下げる。
「連休はなんかええ事ありました?」
「は?」
連休は不幸やったよ。
愛した男に捨てられて違う男に裸で監禁されてただけです。
そう考えると自分がやってた事が卑猥で顔が少し熱くなった。
「なんか、すっきりとして幸せそうに見えたんで…、違ってたらすみません。」
学園長が赤くなって照れたように笑う。
すっきりとして幸せそう?
そんなはずない…。
だって私は透を失ったのに…。
学園長の言葉に驚愕する。
今日の私はどんな顔してたんよ!?
自分を呪いたい気分。
「楠木先生?」
「失礼します。」
これ以上の顔を見られたくなくて学園長から顔を背けて学校を出た。
帰ってからシャワーを浴びる。
透………。
透…………。
透が消えてまう。
シャワーで洗い流すたびに透が消える気がする。
ご飯を作る気にもならない。
透の匂いが消える気がするから…。
クローゼットを開ける。
唯一、残った荷物。
透の制服。
それを抱きしめて透が居た事を思い出す。
薄情な女やな。
透のものがないと透の事が思い出されへん。