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嘘やろ!?
第1章 キャバクラ学園
ああ…、別に大人しいという訳やないな。
一番後ろにある窓際の席。
そこは必ず彼の指定席。
間違いなく2年生の時もこの男の子の担任をした覚えはある。
だけど未だに、はっきりとした顔がわからない。
うーん…、覚えてないと言うべき?
多分、割と綺麗な顔の男前だったような気はする。
「誰か…、吉岡君を起こして帰って貰ってや。」
適当にまだ残ってる子達にそう言い残してから教室を出る。
吉岡 透(とおる)…。
学校へは一日中、寝る為に来てるだけの子…。
朝は、いつの間にか来て眠ってる。
そして、いつの間にか起きて帰ってる。
だから彼の寝顔しか私は知らん。
切れ目長な目元だとわかる程度。
整った顔立ちだとは思う。
肌が綺麗でサラサラの髪をしてる。
私がわかるのはその程度。
いや、私以外の教師も皆んなが彼の事はその程度にしか知らんはず…。
何故なら誰も彼を起こそうとはしない。
ただ不思議な事にテストの成績だけは常にクラストップという吉岡君。
学年全体でも間違いなく上位に居る。
その代わりに提出物などは無きに等しい…。
とにかく学校ではひたすら静かに眠る子…。
大人しいから誰もが彼を放ったらかし。
別にどうでもいいわ…。
寝てるだけの子なんかを気にしててもしょうがない。
職員室に向かい、今日1日の必要事項などを事務処理して明日の授業の準備をする。
先生同士の会話もない。
うちの学校は私立の底辺と言われるレベルの学校…。
公立にすら来るなと言われた子達の最後の受け皿として存在する。
されど一応は私立…。
教員待遇や給与はやはり公立高校よりも何かと優遇されてる。
本当にやばいと感じる子は1年生でほぼ退学してまうから比較的2年生と3年生は手がかからない。
あほ丸出しの熱血教師なんかやらんかったら、それなりには過ごしやすい学校だ。