この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嘘やろ!?
第25章 逃亡
遼さんの部屋。
慣れた遼さんのベッド。
遼さんが私の髪を撫でてキスをする。
このまま遼さんに抱かれたいと思う。
私を裏切った透を忘れたい。
「本題に入る。」
遼さんが真面目な顔に変わった。
「本題?」
「透の状況はわかったか?」
「私じゃない女と浮気してたから妊娠させた挙げ句に結婚するって話か?」
怒りがまた湧いて来る。
「近いけど…、ちょっと違う。」
遼さんがクスクスと笑う。
「透は朱音を裏切ってはいない。今も多分な。」
どういう意味?
「妊娠したんは佳奈子や。」
そう言うた遼さんの言葉に耳を疑いたくなる。
嘘やろ!?
佳奈子が妊娠?
佳奈子には売り飛ばすなとか言うてたやん。
「子供の父親は当然、透やない。正真正銘、誰の子かわからん子供が佳奈子の腹ん中に居る。」
「なら…、なんで透が…。」
「佳奈子が助けてくれと透に泣きついたみたいや。だから俺は堕ろせ言うて話を終わらした。」
「そんな…。」
「透は自分が父親になると言い出した。佳奈子と形だけ結婚をすれば世間的には透が子供の実の親という扱いにはなるからな。後は佳奈子と離婚をして透が子供を引き取れば終わりやと透は考えた。」
なんて馬鹿な事を…。
呆れてまう。
あれだけ頭のええ子が…。
親子の問題になると馬鹿になる。
慎也さんに対してもそうだ。
何故、そこで他人の子供の問題にまで首を突っ込んでムキになる?
Jrの問題の時とかは冷静なくせに…。
あほはアンタや。
透…。
涙がまた溢れ出す。
「ほらな、そうやって朱音を泣かす事になる。だから俺は佳奈子との結婚は絶対に認めんし、朱音を泣かす事はすんな言うたんや。」
遼さんが私の涙を拭う。