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嘘やろ!?
第25章 逃亡
「このひと月以上、ずっと透の説得はしとった。結婚には保証人が必要やからアイツは俺に保証人をしてくれって言うて来たりしてたからな。」
その保証人を遼さんは拒否し続けた。
佳奈子には堕ろせとだけ繰り返した。
「透が佳奈子のそばに居ったらますます佳奈子は透を利用する為に絶対に子供を堕ろさんと意地になってしもうたから質が悪い事になっとったんや。」
透と佳奈子の結婚は絶対に認めないと遼さんが言うから透はダラダラと佳奈子と居たらしい。
ただ大学があるからほとんどを研究室で過ごし、時々佳奈子の様子を見に行く程度だったと遼さんが言う。
「結局、朱音が気になって佳奈子にも中途半端な態度しか取れんかったみたいや。」
そんな事をしとる間に、とうとう堕すのが不可能な時期に来てしまった。
「そろそろ俺も父親として本気であの馬鹿を治す時やと思う。だからDNA鑑定でまずは俺が父親やと透に認めさせる必要があるんや。」
「でも…、透は…。」
「放っとけ。佳奈子も子供も朱音も失くした時に初めてアイツは自分が馬鹿やったと気付くやろ。俺は朱音を泣かす事だけは許さんと始めっから言うてたのに、アイツは朱音を捨てる道を選んだんや。」
遼さんが私を強く抱きしめて来る。
「だから…、もう透に遠慮はする気ない。俺が朱音を愛してる…。これ以上は朱音は絶対に泣かさん。朱音はそれだけは覚えとけ。」
繰り返し私の顔にキスをする。
「あの馬鹿…、まだ一丁前に朱音の事を愛しとる。けどな、そうやってアイツは平気で人の愛情を裏切る馬鹿やねん。2度と俺は同じ間違いをする気はない。」
遼さんの決心が痛かった。
透が遼さんを拒否した日…。
すぐにDNA鑑定をすれば良かったという遼さんの後悔が私の中に流れ込む。