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嘘やろ!?
第26章 子守り唄



お互いが手を握り合い、その手を2度離さないと力が籠る。

大阪に戻れた頃にはもう夜になってた。

そして遼さんのBarに入るなり、透は遼さんに殴り飛ばされた。


「それが答えか?」


透と同じ鋭い目で私を睨む遼さんが聞いて来る。

だけど恐怖は感じない。

遼さんは私の為に言うてくれてる。

彼の目からはまだ愛情を感じる。

その優しさに私は真っ直ぐに答える義務がある。


「違う。最後は遼さんが決めたらええ…。透は遼さんの息子やから…。私に2度と近寄るな言うなら私は透と別れる。もうこれ以上は泣きたくないんや。遼さんにならわかるやろ?」


最後の答えを遼さんに託す。

力強く遼さんが私を抱き寄せる。


「朱音は絶対に泣かさん。だから、朱音の望み通りにしたる。」


遼さんが私の頭にキスをして答えてくれる。

それが本来の遼さん…。

私を泣かさない為に私の望む答えをくれる人。

透は私が欲しいからとそんな遼さんの真似をしてただけの子…。


「クソ親父…、朱音には手を出すな!」


喚く透を遼さんと笑う。

ごく普通の駄々っ子が透…。

それが本来の透…。

そんなん当然や。

透はまだ未成年の子供なんやから…。


「透を頼む…。」


唇に軽く遼さんの唇が触れる。

遼さんの最後のキス…。


「クソ親父っ!」


透だけが叫び続ける。

私はただ笑う。

透と進む未来を決めた以上はもう泣き言は言わん。


「今度、朱音を泣かしたりしたら容赦なく俺が貰うからな。」


遼さんがなかなか私を手放そうとしない。

私は遼さんの腕の中でジタバタとして溺れる。


「なにしとんねん。」


呆れた透が私の手を取って自分の腕に抱きしめる。

透という水槽でしか私は息が出来へん。


「腫れとる…。青タン決定やな。」


透の頬骨が真っ赤に腫れ上がっとる。


「親父の虐待や。」

「やかましい!朱音…、学園長が心配して店に来たぞ。ちゃんと謝りに行けよ。」

「明日、学園長に連絡するわ。」


3日も無断欠勤した挙げ句の行方不明をした責任を取らなければならない。


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