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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
「え〜………、ずっと一緒なのに気付かなかった。てかヒジオ初対面でどこ見てんのよ!!」
あ〜、嬉しいけど地雷踏んだな。てか、周辺爆弾8で逃げ場ないじゃん。
妬きもち妬かれて嬉しいけど、ここでヘラヘラするとまた爆弾踏むから、繋いだ手を持ちかえて、麻里絵ちゃんの反対側に回り、遠くなった手首を掴みつつ腰に腕を回す。
腕の中に麻里絵ちゃんを包めば、照れて大人しくなった。
「ん〜、じゃあね〜、俺が麻里絵ちゃんの雰囲気の薔薇、探してあげる。」
「そんなのないよ。」
って、照れながら麻里絵ちゃんはそっぽ向くけど、あったんだ。
「これ、俺にとって麻里絵ちゃんてこんな感じ。」
その薔薇は小振りで白くて、花びらの縁だけ淡いピンクで、花びらの中にクシュクシュと一杯花びらが詰まってる。
そして大きく開くんじゃなくて可愛く可憐に花開き、五輪くらいが一枝に連なって咲いていたのだ。
「私は…こんなに…可愛くない。」
「麻里絵ちゃんはこの薔薇を可愛いって思うんだ。」
「可憐で慎ましやかで可愛くて頼りなさそうな可愛さ。」
「うん、さっきの薔薇を立花女史や優希ちゃんに見えたって共感したように、俺にはこれが麻里絵ちゃんに見える。
小っちゃくて可愛くて可憐なのに、この中にいっぱい詰まってて、爆発しそうでしないんだ。」
麻里絵ちゃんは黙ってしまったけど、
「麻里絵ちゃんの花、記念に撮っとこ〜。」
可愛いからスマホに収めた。
「じゃあ、私も…撮っておく。ヒジオが私だって言ってくれたから…
それと、さっきの優希ちゃんのも、戻って、撮りたい。」
「どうして?」
「優希ちゃんに見せるかも…」
「立花女史は?」
「それはヒジオが撮って見せたら?」
「………無理…無理無理無理…」
こうやって麻里絵ちゃんと二人、思いっきり笑ったんだ。
麻里絵ちゃんのご機嫌、お天気は回復し、そうなると俺に包まれて歩くのは恥ずかしいようで…
「ヒジオ、手、お尻に当たってる。」
なんて身を捩って膨れっ面を見せるけど、逃げはしない。
だから俺もずっとホールド…
だって、少しでも麻里絵ちゃんに触れたいから…