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きっかけは映画館
第15章 これはデートですか?
風呂から上がって岩場で寛いで、湯冷まししたら出発ってか帰り道。
道路沿いの魚の看板を目印に海側にある店を選んだ。
「金目の煮付け。」
「カサゴの天ぷら。」
もう麻里絵ちゃんは迷わず自分の食べたい物を注文して、でもシェア…
ソフトクリームもそうだったけど、俺も麻里絵ちゃんも欲張りなんだ。
「さて、後は帰るだけ、休憩の合図もだけど、眠くなったら、トントンして?」
「眠くならないよ〜。」
ヒジオは心配しすぎ、と思ったけど、ぶかぶかジージャンが本領を発揮するのだった。
バイクだと渋滞がないから、2時間くらい。ゆっくり休憩挟んでも3時間。
眠くなりっこないと思ってた。
ヒジオにしがみついて、夕焼け空が濃紺に変わるまでの海をずっと見ていた。
雄大な景色は飛ばない。
だから、ずぅっと、ずぅっと見続けていた。
ヒジオは温かい。思いっきり泣いて、お風呂にも入って、ヒジオとの遠慮の壁が少し薄くなった。
バイクの振動も直に響いて気持ちよい。
コツン…コツン…
何かにぶつかっていた。