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きっかけは映画館
第16章 ハロウィン


「せんぱーい…」

優希ちゃんの放つ「先輩」がこんな感じになると、困った問題が起きた証拠。

「ハロウィンの風習が…
風習がぁぁ…」

余程、大きな問題が起こったのだろう。


「アイルランドで発祥したハロウィンは、アメリカに渡って栄えて、ヨーロッパではほとんど定着していないらしいです。」

そして優希ちゃんが神妙な面持ちで続けた。

「むしろ、日本のお盆みたいなもの、それに対して収穫祭が行われ、ジャック・オーランタンの逸話など、色んな話が分かれて存在して、ハロウィンとしてお祭りをするのは、それらを纏め上げたアメリカだけなんです。」


さて、困った。
ヨーロッパのハロウィンと銘打ってヨーロッパのスイーツを…とコンセプトを設定した。

そのコンセプトが根底から崩れた。

「とりあえず、お菓子の国フランス、その他ヨーロッパのスイーツを扱いたい。
優希ちゃんのしたいことは、それで変わりないのよね?」

「はい。だってシュークリームやマドレーヌ、マカロン、お菓子という文化を作ったんですよ。」

「じゃあ、ヨーロッパのスイーツは変更無しでいきましょう。
ハロウィンはもう少し調べて、他に変えるか融合できるかは後に検討しましょう。」


優希ちゃんは今にも泣きそうだ。

「だって、せっかく土方さんのアドバイスでいい案が思いついたのに…」


ヒジオ?ヒジオは何も関係ないじゃない。

「ヒジ…カタさんは、その期間にあるイベント等…と言ったでしょう?

そうだ、その路線も…
優希ちゃん、ハロウィンの風習を調べてるグループに、8ー10月のヨーロッパでのお祭り、イベントが他にないか調べてもらって。」

「はい。」

せっかく動き出した流れを止めてはいけない。
その思いで打開策を検討する。

今日も残業だな…

各グループからの途中経過を集約していく。

仕事が忙しいのは苦にならない、むしろ裕司と天秤に架けたのだから、頑張らないと…



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