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きっかけは映画館
第17章 帰り道 part2
泣かしてどうするんだって、思ったけど、麻里絵ちゃんに辛いことを突き付けた。
心のどこかにゆうじが引っ掛かっているうちは、麻里絵ちゃんは前に進めない。恋愛も…仕事も…
って…どうしよう…
麻里絵ちゃんの頭を撫でようかと手を伸ばしたら…
「ヒジオの意地悪〜」
と泣きながら、しがみついてきた。
って、俺んちの風呂に入ったのに、麻里絵ちゃんは何故か麻里絵ちゃんの香りがしてて…
もう反射的に抱き締めていた。
「ごめん…もう寝たほうがいいよ…」
麻里絵ちゃんと…バカな愚息に言い聞かせる。
はぁあ…麻里絵ちゃんを一人で置いとけなくて…今日は愚息を宥めていない。
「うん…ヒジオと…寝る。」
寝るって…眠る…だよな…
愚息がぬか喜びしないように自分に説明する。
ソファーで寝るつもりでいたけど、麻里絵ちゃんはまた俺を抱き枕にするということだ。
仕方なく、寝室に連れていけば、ぐずぐずと泣いていてしがみついて歩く麻里絵ちゃんの表情は見えない。
「おっきいベッドだね。」
「俺、デカイからキングサイズじゃないと足が出ちゃうからね。」
………………
たぶん、今、麻里絵ちゃんはジト目で俺を睨んでいるとわかる。
「女性を部屋に上げたのは、麻里絵ちゃんが初めてだよ。」
「………信じる…よ。」
布団を捲って示せば、
「抱き枕がある…」
と、俺の抱き枕を抱いて、布団に潜り込んでしまう麻里絵ちゃん…
抱き枕を奪われた俺は…どうすればいい?