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きっかけは映画館
第20章 待つ
「ヒジオは優しいね。」
「いや、今は麻里絵ちゃんにこっちを向いて欲しいって…
それだけ…」
「ありがと…ヒジオのこと、嫌いじゃないよ。」
「うん…もう、おやすみ…」
しがみつく麻里絵ちゃんを、ギュッと抱き締めれば、麻里絵ちゃんの力は抜けていく。
頑張りすぎなくていい。もっと俺に甘えて…
優しく撫でて、抱き締めると、麻里絵ちゃんは眠りついた。
こんなにドキドキして、やるせない気持ちも、
馬鹿みたいに反応する愚息も…
麻里絵ちゃんは知らなくていい。
ゆっくり…たっぷり…おやすみ…
麻里絵ちゃんの頭に顔を埋めて…俺も…眠った。