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第20章 待つ

「何があった？
俺を待ってる間に…

ゆうじだろ？」

隠す必要もなかった。
ヒジオに話し合った方がいいと言われて…連絡したんだから…

「うん…ヒジオを待ってる間に…裕司に電話した。」

「そっか…」

「私が想像する裕司と…変わらなかった。」

「どうに？」

「私が裕司じゃなくて仕事を選ぶとか…

自分も仕事を選ぶとか…」

「うん…」

「ずっと前に、結婚を考えるなら…終わってたって…

ずっと転勤になることを、びくびくしてたって…

今は…結婚できる相手を探してるって…」

「うん…ゆうじって…いいやつだったんだろ？」

「うん…でも、結婚相手ではなかった。」

「それも…合わない縁なんだよ。」


「合わない縁？」

「合うときも縁…だけど…合わない時も…縁…
結婚に向いてない縁だったんだ…」

「そっ…かぁ…」




「その人のその時の一番が何か…なんだよ。」

「その時の一番？」

「お互いの一番が、同じ方に向いてなきゃ、縁がないってこと…」

「うん…？」

「例えば、俺が、今は麻里絵ちゃんが一番で、
麻里絵ちゃんは仕事が一番で、
麻里絵ちゃんも、麻里絵ちゃんの仕事も、一番って俺が思えたら、同じ方に向いてる。

でもさ、俺の一番が子供になった時に、麻里絵ちゃんの一番が仕事だったら、同じ方に向いてない。

それを、二人で方向を合わせていき続けるのが、結婚じゃないかな〜。」

「難しいね。」

「難しいよ、それを乗り越えられるのが、愛情の為せる業（わざ）なんじゃないかな〜。」

「ヒジオ、賢いね。」

「いや、俺にだって出来る自信はない。
今は麻里絵ちゃんを泣かせたくない。
麻里絵ちゃんを自分が幸せにしたい…そんなエゴばかりさ…」