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きっかけは映画館
第5章 ラブシーン
ギュッと掴まれた太ももが解放されたと思ったら、肘男の手がさわさわと動き出す。
えっ…、寝てないの?
次は肘男の手を払い除ける勢いで太ももを払うと、何と、私の手に肘男の手が重なり、手の甲を撫で擦りながら、指先で太ももをさわさわ擽って来るのだ。
痴漢…?
エロい映画館で痴漢されることがあるなんて話、聞いたことがある。
でもここは健全な映画館…
ちょっと濃厚なラブシーンって、、、
男優が上手く女優の胸の先っぽをシーツで隠しながらも、ムニムニと形を変える程に乳房を揉んでいる。
女優の唇が色っぽく緩むと、アングルが横から二人を写し出すように変わり、深い口づけをしている。
口づけしながらシーツの中で男優の人差し指がくるくると動いているのがわかる。
本当にしているわけじゃないと思うけど、女優の表情が切な気に、そして口づけに応えているようだった。
くるくると…くるくると回る指先…
熱い手のひら…
私の内ももで、男優の指の動きと同期したように、人差し指がくるくると…回る…
寝てないな!!…肘男!!
思い切り横を向くと…
肘男とバッチリ視線が合う。
そして、肘男の人差し指は遠慮なくくるくる撫で続けている。
チ…カ…ン…!!
思いっ切り肘男の手を払い除け、近づく肘男の顔を押しやろうと右手を挙げると、
肘男の右手に掴まれてひじ掛けに組伏せられる。
あっ…はぁ…
今のは私じゃない、女優が甘い吐息を漏らしている。
グイッと右手を肘男に引かれて肘男の方に体が傾くと、
「こういうの期待して、ここに来たんでしょ?」
肘男が低く小さな声で私の耳元で囁いた。
ビクリ…
重低音の囁きに、体が動かなくなる。
この映画を女一人で観に来るって、そういうことなの?
スクリーンではシーツを捲りながら男優の手が女優の太ももを上がっていく。
優しく撫で擦りながら…
すると太ももに置かれたままの肘男の手も、形を確かめるように揺れながら、膝頭の方に降りていき、
膝とスカートの境目を人差し指が行ったり来たりして撫でている。