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きっかけは映画館
第27章 おうちで映画
ドゥ…ドドドッ…
ほどなくバイク置き場に戻ってきたが、出掛ける時のハイテンションではなかった。
「ヒジオ、荷物がいっぱいの時って、バイクって困るね…」
「いや、麻里絵ちゃんが腰掛けてるところに篭をつけたり、二股に分かれてる鞄を跨がせるように置けるんだよ。」
「へぇ〜。」
「何で?」
「泊まりの旅行とかの時はどうするのかなって…」
「それは、麻里絵ちゃんとってこと?」
「うん…例えばなんだけどね。」
「その時は二股の鞄だな。」
オータムフェア開催のお祝いに掛けて、また、伊豆に行こうと言っていた。
麻里絵ちゃんの誕生日でもある。
それを目標に、麻里絵ちゃんの気持ちがもっと俺に向くように…
そして、旅行をもっとしっかりと計画しようと心に決めた。
「麻里絵ちゃん、こっちのバック何が入ってるの?」
「靴と化粧品とアロマのお香。」
「お香?」
「そう、寝る前にその日の気分でお香を焚くんだけど、ヒジオの家でも焚いていい?」
「ああ、もちろん。ここは麻里絵ちゃんの家だと思ってくれていいんだからね。」
部屋の鍵を開けながら、麻里絵ちゃんに合鍵を渡すことを思い付いた。
何だろう…あのカレンダーを見てから、俺、守りに入ってるな。
それから、夕飯の支度を手伝った。