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きっかけは映画館
第30章 映画のあと…は
使うチャンスがなく溜まっていたイランイランの香りは、別段おかしなものでなく、良い香りに包まれてリラックスした。
ピチャッ…ピチャッ…
互いに口淫する音だけがする室内は淫靡な感じもするけれど、敢えて喋らずに互いを思う。
どうすれば、もっと気持ちよくすることが出来るのか…
与えられる以上の快感を返そうと工夫した。
ヒジオはお尻に置いた手を指を立ててクルクルと撫でる。
ゾワッと駆け抜ける何かを引き金にして、股間に唇で甘噛みをしたり舌で花芽を捏ねてくる。
アン…ッア…
それに翻弄されないよう、ヒジオを深くまで飲み込むのだ。
ン゛ン゛ン゛ン゛…ン゛ン゛ン゛ン゛…
「麻里絵ちゃん、それ…ヤバイよ…」
ヒジオをヨクしたくて口内に迎えたまま喘ぐと、その振動がいいのかヒジオが切なそうに言う。
じゃあヒジオも手加減してくれればいいのに…と思うけど、互いに相手をヨクすることに意識を集中させた。
比べては悪いけど、裕司は潔癖症か淡白だったのだと今になって思う。
裕司に嫌われないか、エロいと蔑まれないか、そんなことを気にしていたような気がした。
ヒジオとは…
精力強いんじゃないか、というスタートだったし、
相性がいいというのか、肌が触れ合うのが気持ちいい。
ヒジオが気持ちよくしてくれるから、ヒジオのこともよくしたい…
自然にそう思えるのだ。