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きっかけは映画館
第33章 ヒジオ来訪


出社して1時間でヒジオは来る。
部長と私で出迎えて、部長は挨拶だけして、お茶を入れた優希ちゃんと交代するということになっていた。

『困ったときや、判断を仰ぐ重要事項があれば、すぐに呼んでくれればいいから、待機しておくよ。
でもここまで二人で頑張ってきたんだから、二人でやってごらん。』

朝ミーティングの後、部長に優希ちゃんと二人で呼ばれて言われた。


開店早々に催事場に来るお客様は少ない。今の催事場は夏に向けて水着と御中元の2分割でスペースを設けているから尚更だ。

ヒジオは店内を見て回ってから上がってくると言っていた。どの程度見て回るか聞いてなかったので、催事場を見ながら待っていた。

ヒジオを待ちながら、少ないとはいえ催事場に来てくださるお客様を、それとなく観察する。

いわゆる客層から、購入意欲、どこに興味を持って、何を見ているのか。


部長がエスカレーターから催事場入口の間に居てくれるので、お客様のフリをして催事場の中に入って観察していた。

考えて見れば、このスペースを使っての企画であるのに、こうやって営業時間内にここを見ることはなかった。

配置などもパソコンデータで準備出来るので、スペースは頭の中に入っていて、パソコンでレイアウトを決めて終わりだ。

ヒジオが、『店内を見て回ってから上がる』と言ったから、『店内を見る』ことに意識がいったのだ。


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