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きっかけは映画館
第34章 おうちに帰る
トントントン…
麻里絵ちゃんが俺の背中に回した手で叩くので唇を離す。
「ヒジオ、卵サンド作ってきたから、食べてから行こう?」
「え…うん…どこに…」
先ほど足に落ちたものがサンドウィッチだったようだ。
お皿を出して麻里絵ちゃんの作ってくれた朝食を広げた。
「凄い卵たっぷり、いただきます。」
「いただきます。」
「ずいぶん早起きしたんだね。」
「うん、打ち合わせのこと考えてたらあまり寝れなくて…」
「大丈夫?」
「うん、ヒジオの顔みたら元気がでた。
やせ我慢しないで泊まれば良かったの。ヒジオといると甘えて何も出来ない人間になってしまいそうで…」
「言ったでしょう?麻里絵ちゃんは抱え過ぎて頑張りすぎちゃうから、頼ってくれていいんだよって…」
「でも、今日打ち合わせだったし…」
「関係ないよ。別に頼って生きていっちゃ駄目なわけじゃないし、皆、どこかしら頼りあって生きてるんだから…」
「うん…そうだね。」
「卵サンド美味しいね。」
こうして俺達は一緒に通勤した。