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きっかけは映画館
第35章 決戦?
「じゃあこちらの手の内を明かしましょうかね。
ヨーロッパではないけれど、連休を利用してのフェア開催に、同じようにイートインを招いた実績はあるのよ。三日間だけならね。
渡航費用と日当を出せば、かなりの職人がエントリーするわ。そして、日本進出となれば、大手企業も乗り出してくるわね。
それをお客様の投票で決めるならますますヒートアップするわよ。」
「そんなものなんですか?」
「間宮さん、彼らは私達日本人ほど勤勉じゃないのよ。仕事がてら日本に来て遊べるということに魅力を持っているのよ。1週間でのリレーとなれば本国での業務にも支障がないし、ちょうどいいんじゃない?」
「ですが、まだ上層部への確認が…」
「間宮さん、正式に決まってから動くので十分間に合うわよ。それとイートインの開拓が新商品開拓と思っていいかしら。」
「はい、もちろんです。」
「あともうひとつ言わせてもらうけど、スペースが減るから、商品数が減るという考えは間違いよね。」
「はい?」
「商品を山程並べる必要はないのよ。」
「つまり、サンプル程度の陳列で、バックヤードから小まめに補充するということですか?」
「そういうことよ土方くん。」
「ありがとうございます。」
「ただ片桐さんのいうイベント仕立てのレイアウトにこれからは力を入れないとね。正式発注は決裁が降りてからでいいので、更に検討をしなければね。」
「「ありがとうございます。」」
今日は私達が応援室から先にお見送りをされた。
ヒジオはエレベーターホールまで見送ってくれて、
『やったね。』と小声で喜んでくれた。