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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
「やったぞ、やった。テナントスペース2店舗分の設置が会議で決まったぞ。」
「凄いですね、部長。じゃあ、『オータムフェア、ヨーロッパからの秋の味覚、あなたの投票で2店舗が○○デパートの中に常設される。』で決まりですね。」
優希ちゃんが飛び跳ねながら部長とハイタッチしている。
「じゃあ並行して2店舗分のスペースを確保するチームも作らなきゃですね。」
「おし、それは俺が中心になってやるぞ?おい、田中、お前建築科卒業だったよな。」
部長は優希ちゃんより若い男性社員に声を掛ける。
「は、はい。」
「よし二人で今日からテナントチームだ。」
「が、頑張ります。」
「それと△△商事にテナント決定の連絡をすぐに入れてくれ。」
「は、はい。」
私が慌ててパソコンに向かうと、
「間宮〜、電話だ電話。必要があればすぐさま飛んで行け。」
部長が珍しく大声をあげる。しかも席には居らず、早々に田中君と中央のミーティングデスクを陣取り、奇数フロアの配置図を広げてにらめっこしていた。
「は、はい。」
ヒジオのデスクの直通電話に掛ける。皆の前で話すことが恥ずかしかった。
『はい、△△商事ソーシャルアドバイザー土方です。』
ヒジオのよそいきの声にドキドキした。
「○○デパート企画部の間宮です。」
『間宮さん、いかがされましたか?』